こんにちは、ノブおです。
今回は、日本の伝統的な調味料である【わさび】について、その辛さの謎に迫ってみたいと思います。
わさびは、寿司やそばなどに欠かせないスパイスですが、その辛さの正体は一体何なのでしょうか?
わさびの辛さは、唐辛子や山椒とは違って、鼻に抜けるような独特の刺激があります。
これは、わさびに含まれる特殊な成分が原因なのですが、その成分とは何なのでしょうか?
また、わさびの辛さにはどんな効能や効果があるのでしょうか?
この記事では、そんなわさびの魅力について、詳しく解説していきます。
では、早速見ていきましょう!

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わさびの発祥と歴史
まずは、わさびの発祥と歴史について簡単に触れてみましょう。
日本固有の植物で、飛鳥時代から薬草として利用されていたという記録があります。
その後、平安時代には各地から税として納められ、江戸時代には食用に広まりました。
わさびの栽培は、静岡県有東木で始まったとされており、全国に広がっていきました。
飛鳥時代から平安時代
わさびが最初に文献に登場するのは、飛鳥時代の遺跡である飛鳥京跡苑池遺構から出土した木簡です。
この木簡には「委佐俾三升(わさびさんしょう)」と書かれており、これがわさびについて記された最古の史料とされています。
このころのわさびは薬草としての位置づけであったと考えられております。
成年男子に課されていた「調」という租税をわさびで納めることができたそうです。
平安時代になると、薬草事典である「本草和名」にわさびが記載されています。
この書物では、「山葵」という漢字で表記されており、「和佐比」という読み方が示されています。
また、「若狭(福井県西部)、越前(福井県中北部)、丹後(京都府北部)、但馬(兵庫県北部)、因幡(鳥取県東部)などの国々から税として納められていた」とも書かれています。
これらの地域では自生するワサビを採取して利用していたようです。
江戸時代
江戸時代に入ると、わさびは食用としても利用されるようになります。特に寿司や刺身などの生魚料理と相性が良く、酢や塩と合わせて食べられました。また、鳥の薄切りや貝などにもわさびが用いられていました。わさびは、生魚の臭みを消し、食中毒を予防する効果があると考えられていたからです。
わさびの栽培は、静岡県有東木で始まったとされています。この地域には、清流が豊富にあり、わさびに適した環境でした。
江戸時代初期にこの地域に自生していたワサビを移植し、栽培を始めたのがワサビ栽培の始まりと言われています。
その後、わさびは有東木から全国に広がっていきました。
日本のわさび産地
日本の有名なわさび産地について解説していきたいと思います。
わさびは水温や水質などの条件が揃わないと育たない繊細な植物です。
そのため、日本でも限られた地域でしか栽培されていません。
では、どこがわさびの名産地なのでしょうか?
日本での生産量ランキングや観光スポットなどをご紹介していきます。
わさびの種類
日本で作られるわさびは大きく分けて二種類あります。
一つは水田で栽培される「水わさび」、もう一つは畑や山林で栽培される「畑わさび」です。
水わさびは主に根を収穫し、すりおろして寿司や刺身などの薬味に使います。
畑わさびは主に茎や葉を収穫し、醤油漬けやわさび漬けなどに加工します。

それでは、それらを踏まえたうえで日本での生産量ランキングを見てみましょう。
日本のわさび生産量ランキング
農林水産省の「令和元年特用林産基礎資料」より出典。
令和元年(2019年)のわさびの生産量都道府県別ランキング↓
順位 | 都道府県 | 水わさび(トン) | 畑わさび(トン) | 合計(トン) |
---|---|---|---|---|
1位 | 長野県 | 780.6 | 7.9 | 788.5 |
2位 | 静岡県 | 355.5 | 131.2 | 486.7 |
3位 | 岩手県 | 20.6 | 390.9 | 411.5 |
4位 | 島根県 | 7.8 | 59.3 | 67.1 |
5位 | 高知県 | 0.0 | 56.8 | 56.8 |
水わさびの生産量では長野県がダントツの1位で全国シェア62.4%を占めています。
2位の静岡県も28.4%と高く、この2県だけで90%以上を占めています。
一方、畑わさびの生産量では岩手県が1位で全国シェア54.1%を占めています。
2位の静岡県も18.2%と高く、この2県だけで70%以上を占めています。
3位以下は島根県(8.2%)、高知県(7.9%)、北海道(2.4%)と続きます。
このように、生産量は長野県、静岡県、岩手県の3県が圧倒的に多くです。
そして、その他の地域は比較的少ないことが分かります。
では、なぜこの3県がわさびの名産地となっているのでしょうか?
それぞれの特徴や魅力について見ていきましょう。
長野県:水わさび日本一の名産地
水わさびの生産量が日本一と言われており、その多くは安曇野市で栽培されています。
北アルプスからの伏流水が豊富に湧き出す地域で、その水温は一年中13度前後とわさび栽培に適しています。
また、日本最大級のわさび農場である「大王わさび農場」があり、観光客にも人気です。
ここでは約15ヘクタールの敷地にわさび畑が広がり、わさび漬けやわさびソフトクリームなどの加工品も販売されています。
また、安曇野市では毎年10月に「安曇野わさび祭り」が開催されます。
静岡県:水わさび発祥の地
静岡県は水わさび発祥の地と言われており、約400年前から栽培されていました。
県内では有東木町や伊豆市などで水わさびが栽培されていますが、特に有東木町は「日本一の水わさび産地」と呼ばれることもあります。
有東木地区は、静岡水わさびの伝統栽培の発祥の地として、世界農業遺産に認定されています。
有東木のわさび田は、標高約1,000mから500mまでの急斜面に階段状に並び、畳石式と呼ばれる独特の栽培方法が行われています。
岩手県:畑わさび日本一の名産地
畑わさびの生産量が日本一と言われており、その多くは岩泉町で栽培されています。
山林や林間で畑わさびを栽培しており、その風景は「岩泉わさび畑」として知られています。
畑わさびを使った加工品も多く作られており、その中でも「岩泉わさび」という商品は特に人気です。
この商品は、岩泉ホールディングス株式会社のオンラインショップや龍泉洞の売店などで購入できます。
わさびの辛さの正体
さぁここからはタイトルにもある辛さの秘密を調査していきます!
わさびは日本で生まれた植物で、お刺身や寿司、そばなどによく合います。
しかし、わさびはすりおろすまでは辛くありません。
では、なぜすりおろすと辛くなるのでしょうか?
その答えは、わさびの辛み成分であるアリルイソチオシアネートという物質にあります。

アリルイソチオシアネート
硫黄を含んだ有機化合物で、空気に触れるとすぐに飛んでしまいます。
この物質は、わさびの細胞の中に砂糖とくっついたシニグリンという物質として入っています。
シニグリン自体は味も匂いもありません。
ですが、細胞が壊れると、細胞内にあるミロシナーゼという酵素が働いて、水を使って分解する化学反応を起こしてアリルイソチオシアネートが作られます。
この化学反応は以下のように表されます。
シニグリン + 水 → アリルイソチオシアネート + ブドウ糖
このアリルイソチオシアネートが口の中や鼻の中を刺激して、冷たいものを感じる受容体TRPA1を動かします。
TRPA1は17℃以下の温度に反応する受容体で、わさび受容体とも呼ばれます。
TRPA1が動くと、冷たい感覚や痛みが生じます。 これがわさびの「ツーン」とくる辛さの正体です。
アリルイソチオシアネートの特徴
空気に触れると飛んだり壊れたりするため、時間とともに減ってしまいます。
そのため、わさびはすりおろしてから時間が経つと辛みが弱まったり、ニンニクみたいな匂いが出たりします。
この匂いは、アリルイソチオシアネートが加水分解されてできる分解産物によるものです。
これらの分解産物には、ニンニクや玉ねぎなどにも含まれる硫黄化合物があります。
また、アリルイソチオシアネートには細菌やカビを抑えたりする効果があります。
そして、食中毒予防や生臭さ消しに役立ちます。
アブラナ科の植物は、イソチオシアネート類を作って自分の身を守っています。
イソチオシアネート類は様々な種類があり、それぞれに特徴的な香りや辛みを持ちます。
カラシやキャベツなども同じ仕組みで辛み成分を作っています。
以上がわさびの辛さの正体です。
わさびは日本のスパイスであり、その辛み成分は科学的にも役に立つ物質です。
わさびを食べるときには、そのわさびの辛さの正体を思い出してみてはいかがでしょうか?

まとめ
わさびは日本の食文化に欠かせない伝統的な調味料です。
しかし、わさびについて知っていることは意外と少ないのではないでしょうか。
このブログでは、わさびの歴史や産地、辛さの秘密について徹底的に調査してみました。
わさびの辛さは、アリルイソチオシアネートという化合物が鼻腔に刺激を与えることで生じます。
これは水に溶けやすく揮発性が高いため、すぐに消えてしまいます。
そのため、わさびはすりおろした直後に食べるのが一番おいしいと言われています。
また、わさびは日本各地で栽培されていますが、特に静岡県や長野県の清流で育った本わさびは品質が高く、風味や辛みが豊かです。
わさびは寿司やそばだけでなく、肉料理や洋食にも合う万能な調味料です。
是非、色々な料理にわさびを使ってみてください。
このブログが皆さんの参考になれば幸いです。
このブログでは他にも様々な食材について取り上げています!
納豆→https://nobuo-everyday.com/2023/07/18/nattou/
蕎麦→https://nobuo-everyday.com/2023/07/22/jp-soba/
最後までお読みいただきありがとうございました。
